卒業生の活躍 岡田了祐さん(聖徳大学 講師) 2017年現在

 

社会認識教育学講座を修了後、どのような仕事をされてきましたか?

 博士課程後期を修了した後,そのまま教育学研究科の助教として就職させていただきました。当時,社会認識教育学講座の教授であった池野範男先生(現日本体育大学)が立ち上げた「学習システム促進研究センター(RIDLS)」という組織がありまして,そこの仕事に従事することが主な職務でした。助教時代は,池野先生とセンター事務の草原聡美さんとともに,毎月開催されたシンポジウムの準備に明け暮れていました。今思えば,そこで事務仕事の作法やその重要性を学ばせていただきました。
 その後,千葉県松戸市にある聖徳大学という私立の女子大に講師として着任し,現在に至っております。

 

現在はどのようなお仕事をされていますか?

 教職大学院の所属ですが,実際は,学部での仕事がほとんどです。学部での主な仕事は,幼稚園教員養成コースの担任と教員養成課程の社会科教育系の授業の担当です。この担任というのは,いわゆるチューターのようなものではなく,中学校や高等学校の担任のイメージに近いもので,この業務が仕事の割合の多くを占めていると思います。その他,学部3年生と4年生のゼミをしています。
 大学院での主な仕事は,社会科教育,評価論,幼児教育,研究方法論などの授業を担当しています。
この他にも,各種委員会,入試,実習巡回,近隣の高等学校への出前授業,通信教育関係,免許更新講習,教員採用試験対策,公務員採用試験対策などの仕事があります。
 研究に関しては,院生の頃から取り組んでいる評価研究に加え,最近では,所属先の影響で,幼児期の社会の学びに関する研究や,社会の学びを視点とした幼小接続に関する研究に試行錯誤しながら取り組んでいます。

 

大学教員の魅力とは何ですか?

 自分の興味・関心のあることに対して,徹底的に研究することができ,さらに,それを使って,学部生や院生の教育に携わることができる点です。私は,研究と教育は連動する関係に成り得るものと考えており,研究が教育を豊かにすることもあれば,教育から必要が生まれ,わくわくするような研究に発展していくこともあります。これら2つの創造的なことを仕事の中核に据えられることが,大学教員の魅力ではないでしょうか。
 そのような大学での仕事を進める際,自分の授業を受講してくれる学生さんや自分と同じ分野の研究者はもちろん,他分野の研究者,海外の研究者,大学事務の方,学校現場の先生,地域の方など,多様な立場の方々との出会いや関わりがあり,それも魅力であると考えております。
 また,私は,学生時代から大学という自由で学問的な雰囲気の薫る空間が大好きでした。このような空間で仕事ができるというのも魅力であると思います。

 

どのような院生生活を過ごされていたのですか?

 院生時代は,研究中心の生活でした。そして,その拠点は院生室でした。院生室では,自分の研究の他に,学会事務局の仕事,他の院生との共同研究,マスターの院生の課題への助言,非常勤先での授業の準備,TAの準備など,日々何かしらに追われておりました。それでも,同じ分野を専攻し,同じ組織の中で仕事をし,そして,同じ目標をもつ院生が集っていたので,とても心強かったし,楽しく過ごせました。
 院生の頃は,同級生や後輩といっしょに食事に出かけ,「蛍の光」が流れるまで,どうでもいい話から研究の話までいろいろなことを語り合った記憶があります。そういうところで話したことが,案外,今の自分の考えの根幹になっているような気もします。今思えばとてもよい思い出です。

 

社会系コース(いわゆる教社)で学んだことで役に立っていることは何ですか?

 「社会科」に対するこだわりが揺るぎないものになったことです。さらに言えば,「自分の専門は社会科です」ということが,本当の意味で言えるようになったことです。それは,授業や課題を通して,「なぜ社会科を教えなければいけないのか」という問いを考え続けてきたからです。というか,考えざるを得ない課題を出され続けていました。それに答えていこうとすることによって,社会科が自分のアイデンティティとなっていったわけです。
 また,その過程で,社会科教育の奥深さに触れることができました。例えば,社会科といっても,目標論,カリキュラム論,授業構成論の違いによって,多様な形が存在します。こうした奥深さによって,二十代の頃の私はどんどん社会科の世界へとはまりこんでいきました。

 

高校生(受験生)・大学生に向けてのメッセージをお願いいたします。

 高校生の皆さん,社会科教育と一言で言っても,とても奥が深い世界です。広島大学教育学部社会系コースは,テクニック的な技術論に終始せず,皆さんの社会科に対する見方や考え方を拡げてくれることでしょう。それは,教師になった後,皆さんの社会科実践の可能性を拡げることでもあります。広い世界を知ることで,教師としての伸びしろを拡げていってください。社会系コースでそのような社会科教育の世界を学んでみませんか。
 大学生の皆さん,広島大学大学院教育学研究科の社会認識教育学講座では,そんな社会科教育の世界をつくり,つくりかえていく作法を学び,それを実践していくことができる場所であると思います。そして,研究の作法を学び,その経験を積むことは,研究者志望の方だけでなく,小学校・中学校・高等学校の教師志望の方にとっても有益なことです。研究に用いる思考は,実践を客観的に,そして,俯瞰的にみることを可能にし,実践をより望ましい方向に導くことが可能になります。そのような思考法や観点を社会認識教育学講座で学んでみませんか。

 

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